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「がんばろう東北」レポートバックナンバー

岸本東北財務局長

2014.5.27 防災の先進地へ

 本年2月に、財務省の仕事の関連で、国会の視察団に随行して、福島第一原子力発電所内に入る機会がありました。何度も検査を受け、全身を覆う白い服を着用し、バスを乗り換えて、ようやく現場に近寄ることができました。厳重な安全管理が行われていて極めて緊張感の高い、厳しい作業環境の中ですが、大勢の職員が廃炉に向けた作業を着実に進めようと奮闘していらっしゃいます。また、避難指示解除準備区域内である楢葉町で、農地や住宅の除染作業や除染で出た枝葉の破砕圧縮梱包作業の状況について説明を受けましたが、同町においては、他の地域に比べて進捗割合が高く、計画の9割近くが除染実施済みとなっているということでした。
 福島県では、他の被災地と同様の地震や津波の被害に加えて、原子力発電所事故による被害があり、親戚知人宅等も含めて県内県外に避難されている方が約14万人もいらっしゃいます。これらの方が、一日も早く、しっかりした住宅に落ち着いて住めるようにすることが、震災からの復興を成し遂げるために不可欠であることは、言うまでもありません。そのためには、福島第一原子力発電所の廃炉作業を着実に進めることなどにより、安全な環境を確保していくことが是非とも必要です。廃炉や除染などの事業について、関係者の方々の御努力に感謝しつつ、被災者、避難者の方々の生活再建に向けて、その着実な進捗を期待するものです。

 同じ2月に、やはり財務省の仕事の関連で、米国ワシントンにある世界銀行の視察団の訪問を受け、仙台の関係団体や宮城県の被災地を案内する機会がありました。
 世界銀行は、途上国の開発を主として金融面から支援している国際機関ですが、日本の協力で、このほど世界の防災に関する情報を集積し、途上国に向けて発信する防災ハブを東京に開設することになりました。このために、世界銀行で、持続可能な開発ネットワークの構築を担当されているズビータ・アラウア副総裁代行を団長とする訪問団十数名が来日したのですが、この機会に、改めて東北地方の被災地の復興状況を視察したいということで、当地を訪れたのでした。
 世界銀行は、同じく米国ワシントンにある国際通貨基金(IMF)とともに、一昨年10月に日本で開催した年次総会の機会に、その一部として、防災と開発に関する仙台会合を開催しています。東北財務局もそのお手伝いをしました。その際、世界中で防災に対する備えを高める必要性に関しての世界的なコンセンサスが作られました。今回の視察は、それに続くものと位置づけられます。
 一行は、初日に、宮城県庁、仙台市役所のほか、東北大学災害科学国際研究所を訪問し、2日目に、国土交通省東北地方整備局の案内で、仙台市、東松島市、石巻市、岩沼市等の被災地の現況や復旧復興事業の現場を視察しました。
 私もすべての行程に同行しましたが、東南アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、東ヨーロッパなど世界各地で防災事業に取り組む世界銀行職員たちの話を聞くことは、大変有益で興味深いものでした。地震や台風等の自然災害は、世界各地で繰り返し発生しており、災害に対して脆弱なことが多い途上国において防災が重要な関心事項になっていることがよく分かりました。自然災害は、いずれまた発生するとしても、自然災害が発生したときに、いかにして被害を最小限に抑えるか、そのためにはどのような準備が必要なのかというのは、人間の知恵と努力で対応すべき課題です。世界銀行職員にとっても、災害に強い街づくり、国づくりに向けて、震災からの復旧復興の事業が本格的に動いている状況を目の当たりにし、直接に事業に携わる方々から話を聞くことで、得るものが多かったのではないかと思います。
 被災地では、各自治体が中心になって、街づくり、インフラ整備、産業振興等の施策を進めていますが、それぞれの地域ごとにその実情を踏まえた事業が行われています。また、各地の企業や民間団体も、独自の工夫で復旧復興を目指しています。学術的に防災を研究している学者も多数いらっしゃいます。このように多くの人々が議論を重ねて、知恵を出して生み出した復旧復興や防災機能強化の取組みは、おびただしい分野にわたり多様なバリエーションをもって展開しているので、きっと外国の人々にとっても何かしら参考になるものと思います。
 今回は、日程の都合もあり、案内したのは宮城県内のみでしたが、一行の中には、これまでも被災地を訪れたことのある方もいて、東北地方の復興の状況に対して、高い関心があるように感じました。

 日本の東北地方に来れば、震災からの復旧復興や防災について、多くのことを学ぶことができるという姿が出来つつあるように思います。東北地方が防災に関する取組みの先進地となって世界の防災事業にとって有益な情報を発信していくことが、諸外国からも期待されていると感じています。
 

世界銀行視察団の宮城県庁訪問(平成26年2月)

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