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~大震災からの復興に向けて~ 福島財務事務所長から(2011年)

平成23年12月22日

小峰城

 晩秋、白河の小峰城を訪ねました。寛政の改革で有名な藩主松平定信のお城です。
 小峰城は戊辰戦争で奥羽越列藩同盟軍と新政府軍との激しい攻防の舞台となって大半を焼失しました。平成3年に本丸跡に三重櫓が復元されました。今回の地震により三重櫓の崩壊は免れたものの、石垣がいたるところで崩壊しています。被害額は20億円程度と見積もられております。修復には5年程度かかるとのことです。盛岡城、会津若松城とともに東北3名城のひとつにもなっており、白河の貴重な観光資源でもあります。
 早いものでもう12月です。復興庁設置法も成立しました。来年はもっともっと復興のスピードを速めるべく財務局の責任を果たしていかなければなりません。

地域融資動向に関する情報交換会

(県内の信用金庫、信用組合における金融機能強化法の活用)
 11月21日、県内のあぶくま信用金庫など被災地の4つの信用金庫(宮古信用金庫、石巻信用金庫、気仙沼信用金庫)が「金融機能強化法に基づく資本増強を検討する。」旨の記者会見を行い、12月8日には、県内のいわき信用組合、相双信用組合も同じく記者会見を行い公表しました。
 国は東日本大震災により被災地における金融機能には様々な影響が出ることが懸念されたことから、被災地域における面的な金融機能を維持・強化し、厳しい状況にある地域経済や中小企業等を支援する目的で、6月22日に金融機能強化法等を改正したところです。
 金融機能は地域経済の血液であり、これまで以上に安定的かつ円滑な金融仲介機能を発揮し、地域の復興・発展を金融面から支えるためには、資本増強を行って財務基盤を一層強化しておくことが必要です。
 国や中央機関が一体となって資本参加を行うことにより、これら信用金庫・信用組合をバックアップしていこうというものですが、その検討に入ったことが明らかにされたわけです。

(地域融資動向に関する情報交換会)
 12月8日、福島市内で福島県、東北経産局及び当事務所が主催した「地域融資動向に関する情報交換会」が開催されました。この情報交換会は、中小企業の資金繰りが厳しくなるこの時期に、関係機関が一同に会して情報交換をしているもので、平成10年以降毎年開催してきております。
 メンバーは県内の地域銀行・信用金庫・信用組合の各団体、商工会議所等の中小企業団体、信用保証協会、政府系金融機関、日本銀行、東邦、福島、大東の各行等です。
 今年は特に震災・原発事故の発生により通常の年とは状況が異なっているため、出席者からは貴重な状況報告がなされました。さらに、被災者・被災企業の二重債務問題への対応として、「個人債務者の私的整理ガイドライン」が適用開始されていることや、今後「産業復興機構」及び「事業者再生支援機構」の二つの組織ができることとなっています。これら二重債務問題に関して被災者の混乱を避けるため、相談窓口体制のワンストップ化も必要であるなどの意見が出されました。
(広野町への長期人材派遣)
 被害を受けた市町村役場を巡回して市町村長とお会いしお話を伺い、我々財務局・事務所がお役に立てることは何かを模索し実行してまいりました。財務局職員の被災地方公共団体派遣もその一つです。全国の財務局等から被災3県を中心に21団体に延べ4,051人の職員を派遣しました。基本的には1週間交代での派遣でした。
 広野町からは早い段階から「長期での派遣」を要請され、1ヶ月~3ヶ月単位で派遣を継続してまいりましたが、このたび12月中旬より派遣期間6ヶ月とすることになりました。派遣された職員もやる気満々です。町の復興のために精一杯がんばってきてほしいと願っております。

福島財務事務所長 中野伸二

平成23年11月18日

(南相馬市をご視察)

 前回は尾瀬の紅葉をご紹介しましたが、11月も中旬になりますとそろそろ福島の紅葉も終わりになります。裏磐梯あたりでは大型観光バスもちらほら見受けられ希望の光を見たように思います。
 福島県立美術館では「帰ってきた江戸絵画 ギッター・コレクション展」が開催されています。禅画をはじめ円山応挙、伊藤若冲、俵屋宗達、酒井抱一などすばらしい江戸絵画を見ることができます。ハリケーン・カトリーナの被害を奇跡的に免れたギッター・コレクション。日本で初めての全容公開です。ぜひお勧めします。(12月4日まで)
 もう一つお勧めの美術館があります。裏磐梯にある諸橋近代美術館です。サルバドール・ダリの彫刻や絵画の多さに驚嘆しました。国内でこれだけのダリ作品を集めているのは他にはないと思います。できればギャラリートーク(土日祝日)や音声ガイドを利用すればより一層ダリを理解できるのではないでしょうか。残念ながら12月から冬季休館に入ります。

(三谷政務官のご視察)
 10月14日(金)三谷財務大臣政務官が被災地ご視察のため福島県入りされました。
 最初に郡山市のビッグパレットに仮役場を置いている富岡町と川内村を訪問しました。富岡町の遠藤町長、川内村の遠藤村長とそれぞれ懇談され町・村の現状や問題について意見交換されました。仮役場内では職員に対し激励の挨拶を行いました。
 福島市内に場所を移し、吉田福島現地対策本部長、内堀副知事と懇談した後、当事務所にもお越しいただき所内巡視をして職員を激励していただきました。
 午後からは浜通りに入り、まず相馬税務署を訪問し激励の後、南相馬市鹿島区にある仮設住宅を視察し、南相馬市から復旧・復興の状況について説明を受けました。次に計画的避難区域の飯舘村を通り村内の状況を見つつ福島市内に設置している飯舘村飯野出張所に菅野村長を訪問し懇談しました。村長からは「こういう災害があっても次の世代が世界から尊敬される日本にならなければならない。国の舵取りをよろしくお願いしたい。」との話がありました。

秋祭りにボランティア参加

(未利用国有地の情報提供)
 県内には未利用国有地がありますが、被災地方公共団体を通じて被災者・被災地支援に活用していただくため、災害発生直後から情報提供を行っています。これまでに仮設住宅用地や仮設事務所用地として活用されています。今回は特別会計所属の土地も含めてリスト化し、被災市町村を巡回しました。
 避難している団体からは「支所」としての要望があったほか、活用に向けて検討する団体もありました。復旧・復興が進むにつれて土地の活用方法も変化してきているようです。私たちはただ単に一方的に情報を流すだけでなく、復旧・復興のステージに合った活用方法を提案していくぐらいの心構えをもって臨まなければならないと考えています。

(秋祭りにボランティア参加)
 11月6日、今にも雨が降ってきそうな日曜日の午前。福島市内の吉倉公務員宿舎。ここに避難している飯舘村の住民で作る自治会主催の秋祭りが開かれました。当事務所の職員10名がお祭り運営のボランティアとして参加し、村民と親睦を深めました。
 吉倉公務員宿舎には飯舘村から56世帯、245人の方が避難生活を送っています。近くの借り上げアパートで暮らす住民も加わり、子供たちの歓声が響きにぎやかな秋祭りとなったようです。

財政の講演会

(財政の講演会)
 「我が国の財政の現状と課題」と題して、10月中に3回の講演会を行いました。折りしも第3次補正予算や復興財源問題、ギリシャ問題などが毎日のように新聞紙上を賑わせていましたので、講演後のアンケートには実に熱心な意見を頂戴しました。
 大別すると、(1)財政再建に関するもの、(2)震災の復旧・復興に関するもの、(3)財政問題の広報充実に関するものです。
 (1)の財政再建に関しては、皆さんよく勉強され、また新聞等もよくお読みになっていて財政再建の必要性はわかっておられました。特にヨーロッパの状況を見るにつけ財政問題がその国の将来を左右することも理解されておられるようでした。
 (2)の復旧・復興予算に関しては、スピーディーに、必要なところに的確に予算をつけてほしいといった意見が圧倒的でした。特に、放射能問題、除染問題を挙げる方が大勢いました。
 (3)の広報の充実に関しては、「財政の実情を知ることから始まるのでこのような機会を増やし国民の理解を深めるべき。」といった有難いご意見をたくさん頂戴しました。
 当事務所では、講演会の新規開拓のために県内の各種団体に対して「講師派遣のご案内」を送付させていただいております。今、最もタイムリーな財政問題や金融問題についてご一緒に勉強していきたいと考えていますので、ぜひご連絡ください。いつでもどこへでも出かけてまいります。
(双葉(ふたば)郡の避難住民、「戻らない」が26.9%)
 福島大学災害復興研究所が「双葉地方の住民を対象にした災害復興実態調査」結果を発表しました。
 住んでいた町への帰還の意志を聞いたところ、26.9%の人が「戻らない」と答えました。中でも34歳以下は52.3%が「戻らない」でした。
 戻らない理由としては、多数の方が「除染が困難」「原発収束に期待できない」「国の安全レベルが不安」「生活・資金面の問題」を挙げました。
 一方、7割以上の方が「帰還の意志あり」ですが、その理由として「暮らしてきた町への愛着」「先祖代々の土地、墓、家」を挙げる方が多数いました。
 人口減少問題は町づくりの根幹に関わる問題だけに私ども行政としても最大限の努力をしていかなければならないと改めて認識いたしました。

福島財務事務所長 中野伸二

平成23年10月26日

福島県震災復興金融協議会

 大震災や原子力事故からの復旧・復興が一歩一歩進んでいます。復旧・復興のスピードが遅いとの指摘があります。確かに阪神淡路大震災と比べると時間がかかっていることは事実です。ただ現場におりますと毎日、各地で様々な動きがあるのがわかります。被災された方々からは生ぬるいとお叱りをうけるかもしれませんが、大勢の関係者があの日を忘れることなく日々努力を重ねていることも事実です。財務事務所の職員もがんばっています。前回のご報告の続きです。
(福島県震災復興金融協議会)
 9月9日(金)にコラッセふくしまで2回目の福島県震災復興金融協議会が開かれました。この協議会は震災からの復旧・復興に向けて県内の地域金融機関や政府関係金融機関などが一同に会して、福島県が策定する復興ビジョンや復興計画を金融面から支えていくために県と当事務所が呼びかけて結成したものです。
 この日は県から商工労働部長が出席し「福島県復興ビジョン」の説明があり、復興計画を12月末までに策定するとの話がありました。
 二重債務問題では現在、「個人債務者の私的整理ガイドライン」によって福島市内に相談窓口が設置され動き出していますが、まだ相談件数が少ないようですので事務所においても周知広報を実施しているところです。
 また、福島、宮城、岩手の3県に中小企業再生ファンド「産業復興機構」を設立する動きが加速しています。さらに、中小企業再生ファンドでの支援が困難な小規模事業者などを対象とした「震災事業者再生支援機構」の設置が民主、自民、公明の3党で合意された(23年10月20日)とのニュースがあります。

(建設業、観光業の状況)
 9月14日(水)に建設関係の団体を訪問して業界の状況についてお話を伺ってきました。
 最近の業況は、「震災により5月まで公共工事の発注が止まった影響で前年比30%の減少となっていること(宮城県では30%増)。」「仮設住宅建設では大手ハウスメーカーだけではなく県内業者も受注することができるようになり、さらに県内業者の仕様は木造であったことから地元大工さんの雇用につながったほか、木材調達を森林組合等から行ったため県内復興需要に貢献することができたこと。」「県内建設業の労働者が不足し、人件費が大幅にアップしていること。」とのことでした。
 翌15日(木)には観光関係の団体を訪問して県内観光の状況や先行き見通しについてお聞きしました。
 この団体では特定マーケットを対象とした会議や研修などの誘致を重点的に展開しているそうですが、風評があるためマッチング率は1割程度と厳しい状況となっています。
 また、吾妻山から磐梯山に抜ける3つの観光有料道路を今シーズンは無料開放しています。これによって通行量は前年比6%増となっていますが、観光バスの通行がほとんどなく県内ナンバーばかりということで、思ったほど土産販売等関連業種への波及効果を生み出すまでには至っていないようです。
 旅館・ホテルについても大手エージェントによる団体予約は皆無の状況であり、今後も宿泊施設に対する風評被害が続くとみています。大手旅行会社のデータでは、6月の岩手県及び宮城県を訪れる者の予約状況はそれぞれ前年を上回っているのに対して、福島県はまだまだ遠く及んでいないとのこと。福島だけが取り残されているような状況です。このことからも依然として原発の風評被害に苦しめられていることがうかがえます。
 これに関連しますが、先日、私から当事務所職員に対する「復旧・復興のために今後、財務局・事務所が行うべきことは何だと考えているか?」との問いかけに対し、「我々自らが福島の観光をPRし福島の復興に微力ではあるが協力してはどうか。」との提案があり、検討しております。

(自見大臣がご視察)
 9月21日(水)に自見金融・郵政改革担当大臣が福島県内をご視察されました。スケジュールは、当事務所で地元金融機関と意見交換、飯舘村菅野村長訪問、浜通りの被災信用金庫・信用組合訪問などです。
 折りしも台風15号が首都圏から東北に近づいてきており、きつい雨の中での御来県でした。
 岡部東北財務局長が「局長室へようこそ」に書いていますので詳しくはそちらをお読みください。

(尾瀬沼の紅葉)
 10月8日(土)から1泊で桧枝岐から尾瀬沼に行ってきました。有志5名の小旅行でした。桧枝岐村の民宿はほぼ満杯でした。村営の燧(ひうち)の湯の洗い場に長蛇の列ができるくらいの人出でした。
 私にとって尾瀬はどこか遠くにあり、一種あこがれのような存在でした。遠いし、山登りだし、しかもシーズンは短い。しかし思い切って行って本当に良かったと思っています。確かに福島市から桧枝岐村まで4時間半はかかります。でも着けばハイキング気分で尾瀬沼まで行くことができます。心も体もリフレッシュできました。

 福島には安心で安全な観光地がいっぱいあります。百聞は一見にしかずです。

福島財務事務所長 中野伸二

(尾瀬 大江湿原)

平成23年9月29日

(両町村長とビックパレット館長が握手)

(避難所の閉所式)
 8月31日の夕方、郡山市の「ビッグパレットふくしま」にある避難所の閉所式が行なわれ、事務所を代表して出席しました。この避難所は3月16日に開設され、福島第一原発事故を受け、主に富岡町と川内村の住民が最大2,500人避難されていました。県内最大規模の避難所でした。この日は県が体育館等の一次避難所を原則閉鎖する期限としていました。開設から169日目となりました。
 式には避難所や仮役場において人的派遣を行った地方公共団体、国、地元医師会やボランティア団体の代表者など約40名に加え、両町村の住民が出席しました。富岡町の遠藤町長からは感謝の言葉と「避難生活で実感した絆を財産に今後もがんばりたい。」との挨拶がありました。川内村の遠藤村長からは「避難所において死亡者が出なかったのは奇跡的だ。皆さんのご恩に報いるために古里に戻って復興させる。」との挨拶がありました。全出席者の紹介があり、最後に避難生活をスライドで振り返り、出席者がそれぞれ思いを交錯させ、一区切りをつけたひと時となりました。
 この避難所には4月中旬から8月末までの間、金融庁、関東財務局、近畿財務局から合計40名の職員が派遣されました。私たちはごく当然のことをやっただけなのですが、今日のような式典を開催し労っていただけたことで、何か感動を覚えますし達成感を感じます。
 さて、ビッグパレット内にある両仮役場ですが、富岡町は郡山市内に土地を確保し移転することになっているようです。川内村は当分このままの場所で役場機能を維持するそうです。ビッグパレット自身もこれから修理が始まり、本来の見本市・イベント会場としてよみがえります。
(新潟・福島豪雨災害の現場へ)
 このたびの大震災を受けて福島は四重苦だといわれます。地震、津波、原発と風評被害のことです。今回、残念なことに一つ加わり五重苦となってしまいました。7月末に奥会津地方を襲った豪雨災害です。
 7月27日から30日にかけて降り続いた雨は680ミリ。前回のレポートにも書きましたが、私は28日と29日にちょうど只見町と桧枝岐村に来ていたのですがまさかここまで大規模な災害になるとは想像もつきませんでした。あれから約1ヵ月後の9月5日~6日、私は災害の状況を町当局から聞き現場を直に見るために、財務省主計局の主計監査官と一緒にこの地域に入りました。主計監査官というのは災害復旧事業の査定・立会を行う担当責任者です。訪問したのは只見川流域の柳津町、三島町、金山町、只見町です。
 今回の災害で特徴的なのは、雨が直接降り続いた只見町などの上流地域では建物や水田への浸水・冠水被害、林道や町道への土砂流出や崩壊、橋の流出など面的に相当やられていることです。特に林道被害は853箇所にも上っています。
 金山町などの下流域では只見川の水かさが増し、国道252号線やJR只見線といった幹線の橋や鉄橋が流出してしまい、寸断されていることです。日本有数の豪雪地帯で知られるこの地区は冬季になると旧道が通行不能となり孤立集落が発生するおそれがあるため、仮設橋の設置工事が急ピッチで進められています。JR只見線の完全復旧までには相当期間が必要になるとのこと。また、会津若松と新潟を結び地元の生活道路ともなっている国道252号線の寸断が、この地域の暮らしや産業に与える影響は計り知れないものがあります。
 3.11の風評被害から何とか立ち直ろうと考えていた矢先の豪雨災害でした。これから災害復旧事業の査定・立会が始まりますが、担当する東北財務局としても全国の財務局から応援者を集め全力であたることにしています。人員不足を理由に復旧の遅延は絶対起こさない決意です。

福島財務事務所長 中野伸二

(流出した国道252号の二本木橋(金山町))

(橋の一部が流出した五札橋(只見町))

平成23年8月31

 福島県には自然や歴史、それに温泉地など魅力的な観光地が数多くあります。
 そんな福島を訪れ宿泊する客は年間延べ715万人泊、これは全国13位、東北ではトップです。(平成22年度観光白書)全国シェアは2.4%となっています。
 観光白書によれば国内旅行消費額合計は23.6兆円(平成20年度ベース)ですので、このシェア比率で計算すると福島県分は5,664億円となり、県内総生産(名目GDP)7兆3,238億円の7.7%を旅行消費額が占めていることになります。
 このほかに、この国内旅行消費額がもたらす観光産業への直接効果・間接波及効果がありますので、まさに観光業の復興が県内経済復興の大きな柱になるといえます。観光関連産業といって思いつくのは旅館従業員、食材納入業者、クリーニング、みやげ物屋、観光施設から芸者さんまで確かに裾野が広いのが特徴です。
 今回は原発事故による風評被害のため観光客が激減している会津若松周辺と奥会津地方の現状についてレポートします。

 まず、7月中旬に会津若松商工会議所と磐梯町役場を訪問しお話を伺ってきました。
 東山温泉と芦ノ牧温泉の4月及び5月の宿泊者数は前年同期比△60.8%でした。これは大熊町等浜通りからの避難者の旅館への受入数を含んでいる数字ですから、一般客数の落ち込みは絶望的なものと推察できます。8月末までには避難者の方が仮設住宅に移ることになっているため、その後の売上減少と資金繰りには相当な危機感を持っているとのことでした。

(会津鶴ヶ城)

 会津は修学旅行のメッカでもありますが、春の修学旅行シーズン(4月~7月)は前年同期比で△83.5%の落ち込み、引き続き秋も9割がキャンセルになったとのことです。
 観光施設では、今年3月に赤瓦に葺き替え工事が完成して幕末の姿に戻った鶴ヶ城天守閣の4月~6月の入込み客数は、一昨年平成21年度(工事前)の同期比で△38.9%でした。赤瓦葺き替えのお披露目効果が多少は現れてはいますが厳しい数字に違いはありません。
 外国人観光客に至っては4月~5月の前年同期比は△98.4%です。

(磐梯山)

 猪苗代・磐梯周辺のスキー場についても来シーズンのスキー客の激減が心配です。
 会津若松市内の歴史地区は昼間でもひっそりとしていて観光客の姿はほとんど目にすることがないといっても過言ではありません。
 参考までに8月29日の大気中の放射線量を調べてみますと、会津若松市は0.13マイクロシーベルト/時、南会津町が0.07です。ちなみに那須0.13、つくば0.14ですので、フクシマというだけで人が寄りつかなくなっています。まさに風評被害です。
 このような中にあって明るい話題もあります。平成25年のNHK大河ドラマに新島襄の妻、新島八重の生涯を描いた「八重の桜」が予定されていることや、この秋放映の「天地明察」で会津ゆかりの人物が取り上げられることになっていることから観光客の増加に期待を寄せています。
 地元商工会議所では市の補助を受けて市内500店舗・旅館で使用できるプレミアム商品券を発行し、首都圏からの宿泊客の呼び込みを図っています。

 次に7月下旬、奥会津の只見町と桧枝岐村を訪問しました。その日は前々日から降り続いていた雨足がますますひどくなり、只見川やその支流の水かさが相当上がってきていました。新潟・福島豪雨災害が発生したのはまさにその夜あたりからでした。
 只見町は田子倉ダム観光とブナの森に年間20万人が訪れます。20軒程度の民宿があります。桧枝岐村は尾瀬国立公園への福島県側玄関口として年間34万人が訪れます。270年の歴史を誇る桧枝岐歌舞伎も重要な観光資源となっています。村の人口は630人。そのほとんどが観光に関わって生活をしているということです。
 両町村ともに震災後は宿泊予約が全てキャンセルとなりました。桧枝岐村では最近になって例年の6割程度にまで回復してきましたが、只見町は依然厳しいようです。両町村ともに観光客の減少を受け宿泊補助事業を起こして何とか観光客の呼び込みをしようとしています。ただ、先日の豪雨災害に出はなをくじかれ、この先は相当厳しいことになりそうです。

 さて、今後の観光産業復興への道筋を聞きましたが、皆さん異口同音に上げられたのが原発事故の早期収束でした。さらに観光地の線量モニタリングや除染を行い安全をPRすること。その上で観光客呼び戻しのための対策を打つ必要があるということでした。呼び戻し対策については被災地応援ツアーへの宿泊補助など国や県の支援を期待する声がありました。
 今回は会津地方の観光について調査しましたが、県内の観光地、温泉地、観光農園等の状況は皆同様だと思われます。なんとしてでも観光産業が復興して人々を惹きつける魅力ある福島県を取り戻さなければなりません。

福島財務事務所長 中野伸二

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